婚約指輪を作ると、相手につけてもらいたいと考えるのは当然です。飾り物ではありませんので、つけてもらうことを想定して贈る方がほとんどでしょう。しかし、なぜ指輪でなければならないのかということなのです。

人類最古の婚約指輪を見てみると、古代エジプトまでさかのぼることになります。ここまで古い歴史ですので、はっきりとはしていませんが、太陽や月といった神を象徴するものが円形のリングであったのではないかと言われているのです。つまり、完璧なものであり、何物にも代えがたい形だったといえるでしょう。今でも円形は最もバランスの取れている図形であり、内側から圧をかけた時でも安定して分散します。外圧からも強い図形であることは間違いありません。

婚約指輪も結婚指輪も、左手の薬指につけることが一般的ですが、これにも意味があります。心臓に近い側である左手であるということと同時に、心臓へと流れていく血管が通るとされている指なのです。そこに、永遠の象徴であるリングをつけるということは、それだけパワーを感じたいということでしょう。

いろいろな思いも込めて婚約指輪を作るのですから、こうした歴史も知っておくと、気持ちの重さも変わってくることでしょう。

婚約指輪というものは、結婚の約束のために交わします。約束をしたことを形にすることによって、結婚の意思をはっきりとわかるようにする意味も込められています。

最近の婚約指輪を見てみると、ダイヤモンドが使われていることが多くなっています。しかし本来、ダイヤモンドにこだわる必要はないのです。なのになぜ、ダイヤモンドなのかと言うと、最も硬い石だからということがポイントになってきます。モース硬度上、もっとも強度があるのがダイヤモンドだということは、一般的によく知られていることでしょう。硬い石であり、崩れてしまったりすることはありません。摩耗してしまうこともないため、固いきずなで結ばれるという意味を持っているのです。

もう一つ、透明であるということも重要でしょう。透明とは、他の色に染まっていない、純真無垢なイメージを持ちます。白とは異なり、何にも染まらないという感覚にもなるでしょう。婚約指輪にダイヤモンドが使われるのも、透明で光り輝く姿から、花嫁にふさわしい宝石であるからなのです。また、美しい輝きを持つプラチナと組み合わせることが多いのも、こうしたイメージを組み合わせることによって結婚が神聖なものであることを連想させる効果があると言えるでしょう。

婚約とは、何か誓約があるわけではありません。結婚の申し込みをして、承諾するというだけであって、結婚したわけでも結婚するわけでもないのです。その約束を取り交わしたというだけで、口頭だけでは結婚も決まっていないのです。なぜなら、役所など公的機関に書類を提出したわけではないからです。

そこで、結婚の約束を取り交わした証として婚約指輪を贈ることが一般的です。約束を形にしたものであり、もちろん愛情のあかしでもあります。指輪ですから書類的なものでも、儀礼的なものでもありませんが、それでも意味を考えれば、結婚したい気持ちが込められている重要なアイテムなのです。

婚約指輪が、月収何カ月分や年収分などといわれる理由は、それだけ相手のことを大切に思っている気持ちを表現するためと言って良いでしょう。金額が高ければ、何か約束に変化が出るというわけではありませんし、低いから相手への気持ちが少ないのかと言えばそうではありません。結婚したいという気持ちを贈るものですから、最近では金額にこだわりがなくなりつつあります。約束を形にすることが大切であり、気持ちと値段は比例するわけではありませんから、相手が気に入るものを贈ると良いでしょう。